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GC工法とは
下地改質から表面保護までを、同一系統の材料で構成する補修システムです。鋼部材の防食からコンクリート部材の断面修復・剥落予防までを同一系統で構成できるため、部位ごとに材料系統が変わらず、材料相性の確認と工程管理を単純化できます。開発元は株式会社グローケミカル(福井県鯖江市)です。
メカニズム
従来の塗替えは「既存塗膜と錆を除去し、新しい塗膜を張る」ことを前提とします。そのため素地調整の品質が仕上がりを大きく左右し、錆が残存すれば再腐食のリスクが残ります。GC工法は、浮き錆・死膜・浮き塗膜を除去したうえで、残存する劣化層に浸透・固着させ、既存層を内側に取り込んだまま防食層を再構築します。錆を化学的に還元して無害化する材料ではなく、錆層の深部まで浸透して固め、水分・酸素の侵入を物理的に遮断する防食技術です。
構成材料
浸透弾性プライマー(水性エポキシ樹脂系)
錆面・チョーキング面・湿潤面・コンクリート表層に浸透し、脆弱層を固着する。全工程の密着の基点。
防錆・防水・耐薬プライマー/浸透性高強度接着注入材
鋼部材では防錆層を形成。コンクリート部材ではクラック部へ浸透接着し、中性化抑制効果を有する。
クラック補修用パテ材/弾性接着剤(弱溶剤エポキシ)
亀裂部・欠損部・段差部の充填。剥離強度 1.63〜1.93 N/mm²(コンクリート系下地)。
水性アクリル樹脂系 樹脂モルタル
断面修復・不陸調整。柔軟性を有し、走行荷重による振動に追従する。
一材形繊維補強ポリマーセメントモルタル
深い欠損部・厚付けが必要な断面修復(垂直面10〜40mm)に限定して併用。
連続繊維補強材
浮き・剥落が懸念されるコンクリート部材における剥落防止を目的とした補強材。
2液形オルガノポリシロキサン系 超耐候性上塗り材
紫外線・雨水に対する保護層を形成。低汚染性。所定の層構成において不燃材料認定を取得。
超即効性止水材(粉体・無収縮モルタル)
桁端部・伸縮装置下・貫通部などの漏水箇所の止水処理。
適用分野と材料構成の一例
下表は、分野ごとの代表的な対象と材料構成の一例です。実際の層構成・使用材料・素地調整レベルは、劣化状態・下地条件・使用環境により異なります。現地調査を経て、部位ごとに決定します。
| 分野 | 主な対象の例 | 材料構成の一例 |
|---|---|---|
| ① 鋼材の錆 防食・延命補修 リーフレット(PDF)(新しいタブで開きます) | 橋梁鋼部材、工場・プラント鉄骨、サイロ、屋外電気設備、鉄塔、屋根・外板 | GC-100 → GC-110 → GCファインセラ水性 |
| ② クラック 補修・剥落予防 リーフレット(PDF)(新しいタブで開きます) | トンネル覆工、橋梁下面、建築外壁、擁壁、柱 | GC-100/GC-110/GC-500/GC-13+3軸メッシュ/GCファインセラ水性 |
| ③ 鋼管ポール 根元腐食補修 | 防犯灯、街路灯、道路照明柱、標識柱、フェンス支柱 | GC-100/GC-110/GC-500/GC-13(重度は鋼製スリーブ併用) |
| ④ 漏水 止水・防水固着 | 地下構造物、共同溝、マンホール、上下水道施設、ボックスカルバート | GC止水材/GC-100/GC-110/GC-13(止水 → 防水 → 断面修復 → 表面保護の順に連続施工) |
| ⑤ 橋梁 長寿命化補修 | 鋼桁・支承・添接板部、橋脚・橋台・地覆、床版 | 上記①②④を部位別に組み合わせ |
※ 上表は仕様書に記載できる標準仕様ではありません。適用可否および仕様の確定には現地調査が必要です。適用できないケースは下記をご確認ください。
性能データ
記載した数値はいずれも指定条件下での試験結果であり、実環境における耐用年数を保証するものではありません。材料単体の試験結果と、工法体系全体としての試験結果は区別して記載しています。
はく落防止性能(NEXCO トンネル覆工はく落防止性能試験)
| 試験項目 | 試験方法 | 判定基準 | 結果 |
|---|---|---|---|
| はく落防止の押抜き試験 | JSCE-K533準拠(土木学会) | 変位10mm以上で1.5kN以上 | 2.53 kN(−30℃)/2.27 kN(+23℃)/2.62 kN(+50℃) |
| はく落防止の押抜き試験 | 試験法734 | 荷重値1.1kN時の変位量が50mm以下 | 0.35 mm |
| はく落防止の耐久性能試験 (塗膜劣化の評価) | 試験法425 | 負荷前後の変状の有無 | 変状なし/光沢度保持率 90.4%(84→76) |
| はく落防止の耐久性能試験 (ひび割れ抵抗性保持率) | 試験法425 | 押抜き試験結果の最低値×最少保持率が1.5kN以上 | 最少保持率 88.6% 2.27 kN × 88.6% = 2.01 kN |
| はく落防止の耐久性能試験 (付着強さ保持率) | 試験法425 | 押抜き試験結果の最低値×最少保持率が1.5kN以上 | 最少保持率 87.9% 2.27 kN × 87.9% = 2.00 kN |
| はく落防止の耐久性能試験 (塩化物イオン透過性) | 試験法425 | 0.005 g/㎡・日 以下 | 0.0009 g/㎡(負荷前後とも) |
| ひび割れ含浸性能 | 試験法426 | 曲げ強度として 2.0 N/mm² 以上 | 5.06 N/mm²(平均) |
| 接着強さ(湿潤接着強さ) | 試験法735 | 1.5 N/mm² 以上 | 2.01 N/mm²(平均) |
| 接着強さ(温冷繰返し) | 試験法736 | 1.5 N/mm² 以上 | 1.90 N/mm²(平均) |
| トンネル補修材料の延焼性試験 | 試験法738 | 消炎時間30秒以内、延焼範囲600mm以内 | 消炎時間 8.5秒(平均)/延焼範囲 200×200 mm |
| ガス有害性試験 | 防耐火性能試験 | Xs(平均行動時間-標準偏差)6.8分以上 | 14.84分(平均) |
試験機関:ベルテクス株式会社 試験分析センター(株式会社グローケミカル 依頼試験)/供試体作製:湿潤・23℃
※ 上記は、GC-100+3軸メッシュ+GC-13樹脂モルタル+GC-100+GCファインセラ水性で構成した工法体系全体としての結果です。塗布材料単体の性能ではありません。剥落防止性能を求める場合は、メッシュを含む層構成での施工が前提となります。
※ 耐久性能試験(試験法425)の負荷条件は、キセノンランプ1200h照射後、−30℃〜60℃の温冷繰返しと水酸化カルシウム飽和溶液水浸を1サイクル24hで30回繰り返すものです。上表の保持率はこの負荷の前後での試験値比率です。
試験報告書の全文は、お問い合わせフォームよりご請求ください。
中性化抑制効果(促進中性化試験)
| 試料 | NEXCO試験法439 26週後の平均中性化深さ | JIS A 1171 28日後の平均中性化深さ |
|---|---|---|
| 比較用標準コンクリート/モルタル | 18.4 mm | 7 mm |
| GC-100 | 11.4 mm | — |
| GC-110 | 0.9 mm | 0 mm |
| GCファインセラ水性 | 1.6 mm | 0 mm |
| GC-13樹脂モルタル | — | 6 mm |
試験機関:株式会社M・T技研(令和6年2月実施)/NEXCO試験法439:20±2℃・RH60±5%・CO₂濃度5±0.2%・促進期間6ヶ月/JIS A 1171:30±2℃・RH60±10%・CO₂濃度5±0.2%・促進期間1ヶ月
※ 中性化抑制は、被覆層が健全に形成されていることを前提とした値です。塗布量不足・工程間隔不足により膜厚が確保されない場合、この性能は成立しません。協会が塗布量と工程間隔を現地で管理しているのは、この前提を担保するためです。
※ 促進中性化試験成績書における表面保護塗料の表記は「コスモファインセラ水性」です。本サイトでは開発元の製品名称であるGCシリーズ表記に統一しています。
不燃性能(発熱性試験)
| 下地 | 総発熱量(試験体A/B/C) | 200kW/m²超過継続時間 (規定値 10秒以下) | 防火上有害な変形 |
|---|---|---|---|
| せっこうボード下地 | 6.6/6.4/6.8(規定値 8 MJ/m² 以下) | 7/7/7 秒 | なし(3体とも合格) |
| 亜鉛めっき鋼板下地 | 3.0/2.2/3.1(規定値 8 MJ/m² 以下) | 0/0/0 秒 | なし(3体とも合格) |
試験実施日:2026年3月23日/輻射強度 50 kW/m²・試験時間20分/材料名:酸化チタン混入オルガノポリシロキサン系樹脂塗装
試験成績書は、お問い合わせフォームよりご請求ください。
クラック部の浸透接着性能(GC-110/曲げ性能回復率)
| 施工条件・比較対象 | 曲げ強度 | 強度比 |
|---|---|---|
| 基準材(破断前) | 1.05 N/mm² | 100 % |
| 他社 錆転換系エポキシ注入材 | 0.38 N/mm² | 36.1 % |
| GC-110/クラック部に上から注入 | 0.44 N/mm² | 42.1 % |
| GC-110/事前に塗布・浸透させたうえで注入 | 1.04 N/mm² | 99.2 % |
出典:GC-110 製品資料。試験体は乾燥コンクリートのクラック部(配合 主剤:硬化剤=1:0.5)。
公的登録・認定
| 不燃材料認定 | 国土交通大臣認定 NM-6142(国住参建第1559号)/NM-6143(国住参建第1560号) 令和8年7月13日交付・認定取得者 株式会社グローケミカル 認定書:NM-6142 不燃材料認定書(PDF)(新しいタブで開きます)/NM-6143 不燃材料認定書(PDF)(新しいタブで開きます) |
|---|---|
| NETIS登録 | 登録番号 KT-220034-A/新技術名称:コンクリート構造物補修材料 EXGリペアシリーズ/区分:材料/開発会社:株式会社グローケミカル、エクシオグループ株式会社 |
※ NETIS上の技術名称は共同開発者側の製品名称で登録されており、GCシリーズと同一材料です。共同開発者は2025年6月末をもって当該シリーズの販売を終了しています。掲載期間・登録内容は変動しますので、引用時は最新のNETIS掲載情報をご確認ください。
不燃材料認定の適用範囲
| 認定の対象となる層構成 | 表面化粧材(酸化チタン混入オルガノポリシロキサン系樹脂塗装 108±20 g/㎡)+ 表面処理剤(エポキシ系樹脂 15±2 g/㎡以下)+ 不燃基材 |
|---|---|
| NM-6142の基材 | 不燃材料(金属板を除く)※平成12年建設省告示第1400号に例示された不燃材料のうち、アルミニウム・壁土、すでに化粧を施されたもの、鉄鋼・金属板を除く |
| NM-6143の基材 | 不燃材料(金属板)※平成12年建設省告示第1400号に例示された鉄鋼及び金属板のうち、すでに化粧を施されたものを除く |
※ GC工法の全構成(GC-13樹脂モルタル・3軸メッシュ等を含む層構成)が不燃材料認定を受けているものではありません。不燃性能が要求される用途では、対象となる層構成と基材の条件をご確認のうえ、協会へご相談ください。
施工可否の条件
| 施工温度 | 気温5℃以下、または施工後数時間以内に5℃以下となる可能性がある場合は施工しない。GC-110は表面温度10℃以下および35℃以上での施工を避けるため、低温期はGC-110の条件が支配的になります。上限は35℃を目安とします。 |
|---|---|
| 相対湿度 | 85% 以下。GCファインセラ水性は相対湿度85%以上では施工できません。 |
| 天候 | 降雨・降雪のおそれがある場合、強風時は施工しない。塗布後1時間以内に降雨に遭った場合は再施工を検討する。 |
| 下地含水率 | 10% 以下(施工前に確認すること) |
| 下地処理 | 鋼部材は3種ケレン以上(浮き錆・層状錆・脆弱塗膜の除去が前提)。コンクリート部材は高圧洗浄により脆弱層・付着物を除去する。 |
| 施工方法 | ハケ・ローラー・コテ塗り。吹付け施工は標準仕様に含まれません。 |
| 養生・工程間隔 | GC-100は硬化養生24時間、GC-110は16時間。次工程までの間隔は1〜5日、GCファインセラ水性の中塗り→上塗りは4時間以上。養生完了は7日を目安とする。 |
適用できないケース
先に「できないこと」を把握することが、施工トラブルと信用毀損の予防になります。この切り分けを現地で行うことが、協会の最初の仕事です。
- 指定重防食仕様の完全代替が求められる工事、1種ケレン・ブラスト指定工事
- 著しい腐食減肉・孔食・断面欠損により構造耐力が低下している部位(当て板補強・部材交換等の構造的補修を優先)
- 常時湿潤・冠水する部位
- 構造耐力に影響する貫通クラック、進行性の大きいクラック(構造照査を経たうえで仕様決定。設計者または構造技術者による確認を前提とする)
- 浮き錆・層状錆を除去できない場合(下地処理が成立しないため、本工法の性能は発揮されません)
- フッ素系・無機系の塗装処理がされた下地(付着性が十分に発揮されないおそれがあるため、事前に付着確認試験が必要)
- 著しい腐食・厚錆により素地調整2種相当が必要な場合は別途協議
仕様書・設計図書を作成される方へ
| 素地調整の指定 | 1種ケレン・ブラストが指定されている場合、本工法は対象外です。本工法は3種ケレンを前提とした計画を成立させるための工法です。 |
|---|---|
| 施工方法の指定 | 吹付け施工は標準仕様に含まれません。ハケ・ローラー・コテ塗りを前提とした歩掛りでご検討ください。 |
| 施工時期 | 冬期にかかる場合は温度条件(特にGC-110の表面温度)が制約になります。工期設定の段階でご相談ください。 |
| 上塗り材の指定 | トンネル内部・桁下・箱桁内部など紫外線が届かない環境では、上塗り材の選定を別途ご相談ください。 |
| 剥落予防の要否 | 剥落予防を要求される場合は、3軸メッシュシートを含む層構成が前提となります。 |
資料ダウンロード
GC工法の概要と、分野別の補修資料をPDFでご覧いただけます。サイトに掲載していない詳細仕様・試験成績書は、お問い合わせに応じて提供します。
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GCシリーズ/GC工法 総合案内
5つの補修分野、しくみと標準工程、性能データ、施工事例をまとめた総合案内です。
PDF・A4横・6ページ・約3.7MB
PDFを見る(新しいタブで開きます) -
GC工法リーフレット 鋼材の錆 防食・延命補修
橋梁の鋼部材や工場の鉄骨などの錆に対する、防食・延命補修の考え方と標準工程です。
PDF・A4横・2ページ・約2.8MB
PDFを見る(新しいタブで開きます) -
GC工法リーフレット コンクリートのひび割れ補修・剥落予防
ひび割れ補修と、3軸メッシュを使う剥落予防の考え方と標準工程です。
PDF・A4横・2ページ・約2.7MB
PDFを見る(新しいタブで開きます)
適用可否のご相談を承ります
点検調書・写真の段階でも、適用可否の見立てと、現地調査が必要な範囲をお伝えできます。設計段階でご相談いただくほど、適用外部位の切り分けを仕様に反映しやすくなります。